苦しいの。
 こんなの、もう、嫌なの。
 でも、止められない。
 私はもう、私じゃない。


 でも。
 女神様は、これが私だと言う。




『ふふふ』
「止めて」
 剣をふるう。
 落ちる、首。
『次はだぁれ?』
「もう、止めて」

 むらがる銀色の甲冑を、ひとふりで薙ぐのは誰ですか?

「お願い、よ」
『わたしは、戦女神よ』

 恍惚とした笑顔を浮かべているのは、誰ですか?

『嫌いじゃないでしょ?』
「ひっ…!や、やめ、くく来る、なっ…!!」

 胸倉を掴んで、大男を引き上げているのは、誰ですか?

「ひいぃぃ…!」
『この血のニオイ、アンタも嫌いじゃないでしょ?』

 首筋に噛み付いて、美味しそうにすすっているのは、誰ですか?


 本当にそれは、私ですか?



 草木も死んでしまった場所に、投げ出されて考える。
 握っていた剣も、傍らに投げ出されている。
「どうして…?」

 どうして、私が?
 あの日から、全てが変わってしまった。

 本当に?
 本当に、全てが変わったの?

 べったりと、爪の間にまでついているのは、血だ。
 そこらに転がっている人たちを動かしていた、血だ。


 ただ、あるべき場所に戻っただけじゃなくて?


 頭に響くこの音は、誰が発しているのですか?
 ゆっくり、手のひらに顔を近づける。


 そっと、舌を出して。
 血のニオイは、嫌いじゃないでしょ?




「いやあぁぁ!!」


 止められない。

 本当に、血は好きじゃない。

 血を浴びることも、
 血を流させることも、
 血を、血で洗うことも。


 止められないの。

 血を浴びたい欲求も、
 血を流させたい欲求も、
 血を、血で洗いたい欲求も。


 草木も死んでしまった場所で、考える。
「私は、誰…?」



 苦しいよ。
 こんなの、もう、嫌なのに。


 でも、止められない。
 私はもう、私じゃない。


 けれど。
 女神様は、これが私だと言う。

 こんなの、もう、嫌なのに。


 だったら、いっそ。
 いっそ。




 手のひらの一部分だけ拭った血が、目に眩しい。








































  グロかった、でしょーか?
  いや、全然だよね(そういうコトにして)
  次に書くであろう、『「怖がらないで」』に出てくる子の、
  昔っていうか、現在っていうか。
  でも、未来じゃない。
  だって、抜け出したがってるじゃん。

  けど、 微妙な文章力で伝わっているのかどうか…。
  でも、こういうたらたら書くのが好きです。

  ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
  2006/08/19






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